しかし、同時に芸術的側面も、
確かに持ち合わせています。
特に、住居ではなく
大型公共施設ともなると、
街の景観を彩る外見も
必要条件になってきます。
しかし、普通の一軒家を考えるとき、
あまり外観は重要視できません。
外観を美しくしようとすると、
どうしても生活することに対する
住居内の機能面に支障を来たしてきます。
家の形を芸術的に独創しようとすると、
部屋の形が矩形にならなくなり、
デッドスペースが増えたりします。
生活者のための設計の原則は、
奇を衒わずに、部屋も建物も、
矩形が一番いいということです。
曲面を入れた建物は、
生活しづらいのです。
そして、毎日生活する住居なので、
少しの違和感が、つもり積って
絶大な住みづらさになり、
住む人の生活や人生を暗くしてしまいます。
ですから、住宅は外見の芸術性よりも、
むしろ機能的な住みやすさが
重要なのです。
壁紙の色一つにしても、
芸術的なカラフルな模様にするよりも、
こころの落ち着くホワイト系の無地が
一番適しているのです。
ル・コルビジェも、建築をやる前は、
美術的な絵画を描いていました。
しかし、かの巨匠は、芸術面よりも
機能面を重視したのです。
それが、前項に挙げた名言でした。
このように、住宅は、住みやすさが
一番大切な造作物なのです。